Yanggum~Korean dulcimer~

朝鮮の打弦楽器 ヤングム(ハンマーダルシマー,ハックブレッド,ツィンバロン,揚琴の親戚)奏者 黄聖順のヤングムblog♪

【基礎知識】『ヤングム』ってなに?(歴史編④)

アンニョンハセヨ~(*^O^*)

金剛山歌劇団 ヤングム奏者の黄聖順(ふぁん そんすん)です!
 
第一回目から二回三回に渡って、
打弦楽器の発祥から朝鮮での民族楽器改良プロジェクトまでの流れを紹介して参りましたが…
(水色の文字をクリックすると記事にとべます)
 
それじゃあヤングムが一体どう変わっていったのか…?!
 


 
実際に見るのが一番早いです(・ω・)ノ
 

 
まず、歴史編②でもちらっと紹介された、
改良前のヤングムがこちら
↓↓↓
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(奥が奏者側)
 
現代のヤングムに比べると、
サイズも小さめで構造も比較的単純です(*´-`)
 

今は椅子に座って両手で演奏しますが、
本来は 
①地べたに座り
②ヤングムを膝に乗せて
③左手でヤングムを支えながら
④右手にチェを持って演奏する
スタイルでした。
 
こんな感じ
↓↓↓
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今の演奏スタイルと全然ちがいますね(°Д°)
 
 
 
その後、片手で支えるのではなく
ヤングムを同じような形のに乗せて
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そして右手で弾く
↓↓↓
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こんな感じのスタイルに。
台の上に置くようになるのと同時に、若干大きめのヤングムが登場しました。
 
朝鮮半島の南側(大韓民国)では、今もこのスタイルで演奏することも多いようです。
(たまに、左手にもチェを持って両手で弾くことも。)
 
 
 
そして1960年代、
いよいよ朝鮮で
本格的な改良が始まります!
 
実は筆者もこの企画を機に色々調べたんですが…
改良前後の資料はあっても、改良途中の資料がなかなか見つからなくてですね…
 
でも最近…
やっと!!見つけました!
改良途中の写真…
レアです!!!
このブログの読者様はラッキーです(?)!!
 

その、貴重な写真が…



こちら!!!

↓↓↓↓
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かーらーのー


こちら!!!!

↓↓↓↓↓
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すごいーっ!テンションあがるーっ!!
((((;゜Д゜))){私ダケ?!
 
手前にチェが2本写っているのを見ると、この時にはすでに両手で演奏するよう改良されてたんですね。
 
写真のとおり、プロジェクトが始まってからすぐ今の形になったわけではなく、そこに至るまでにも色々な試行錯誤があったんですね~。
 
その後も改良が続けられたヤングムは、
ブリッジが三本になって左右に駒ピンが打ち込まれたボードとその隣にはロッドと下には脚とペダルとなんとかとかんとかと…
という様々な過程を経て!
 
 
ついに新生ヤングムとして生まれ変わったのです!!!

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やっと歴史編おわったー(´-ω-`)。笑
 
 
そんなヤングムですが、
じゃあ一体どこがどんな構造になっているのか?!
弦は何本?! こんなたくさん弦あって一体どこを叩いてるの?!
 
そんな読者様の疑問にお答えしていきます!
次回からは
『ヤングム』ってなに?(構造編)!
 
お楽しみに~(・ω・)ノ{構造編へGO!

【基礎知識】『ヤングム』ってなに?(歴史編③)

アンニョンハセヨ~(*^O^*)

 
最近カフェオレにハマりすぎて、一日で牛乳1ℓ消費したときはさすがに反省しました。
金剛山歌劇団 ヤングム奏者の黄聖順(ふぁん そんすん)です!
 
今回も前回に引き続き、ヤングムの歴史についてお話ししたいと思います。
 
え?まだ歴史かよって?
仕方ない。なぜならヤングムが朝鮮に伝わってきて約400年、その祖先であるサントゥールから考えると5000年もの歴史がある、それはそれはとても歴史深い楽器で…
 
 
 
 
 
 
 
 
はい。始めましょう( ^ω^ )
 
 
見事朝鮮の民族楽器としてすっかり定着したヤングム
 
しかし、100年,200年経つと社会も変わり、人々の生活も変わっていきますよね。
朝鮮も例外ではありませんでした。
 
 
 
時は1950年代…。
 
当時朝鮮戦争真っ只中であった朝鮮で、
『音楽で人々を励まし元気づけよう!』
というのが国家の方針でした。
 
 
その土地で生まれ、発展した固有の音楽が一番国民の感性に近い。
=国民達の力になるのは他でもない、民族音楽である!!
 
ということで、朝鮮の民族楽器たちも同時に注目をあびます。
 
…しかし!!
ここである問題が生じます。
 
 
朝鮮固有といえど、時代は現代
人々の感性も少しずつ変わるし、それにより好まれる音楽が変わっていくのも当然のこと。
 
それなのに!!
楽器たちは姿かたちを変えず昔のまま
 
このままだと民族楽器が現代の人々に受け入れられず、廃れてしまう…
 
 
 
これで…いいのか…?
 
 
いや…
 
 
 
 
 
よくないだろう(# ゜Д゜)クワッ!!
 
 
 
こうして、
民族楽器を現代的に改良させていく活動が、国をあげて始まります。
 
題して、
民族楽器 現代化プロジェクト』!
(本当の名前はもうちょっと長くて難しい感じのそれです。←)
 
 
数年の準備期間を経て、
1960年代から本格的な改良作業が始まります!
 
ここでのポイントは、
現代化とは言っても、ただ西洋の楽器に似せるのではなく
 
①民族楽器固有の音色や特性を生かしつつ
民族音楽でも西洋音楽でも幅広く演奏できる楽器を目指そう!
というのがこのプロジェクトの指向でした。
 
例えば朝鮮民族楽器の代表的な楽器のひとつ、ヘグムは…
 
before

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弦数 2本
そしてその間に弓を挟めて演奏していたのが…
↓↓↓
after
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弦数も2本から4本に増え、
弓も自由に動かせるように、弦の上から弾くスタイルに。
さらに高音域から低音域まで対応できるように、ヘグムファミリーが誕生しました!
 
改良っぷりがすごいですね\(゜o゜*)/!
 
 
そしてもちろんヤングムも改良プロジェクトの対象に…!
 
改良に携わった人達が注目したのは次の3つ!
 
音域と音量の幅が広くないこと
②一度叩くと余韻がいつまでも残ってしまうこと
③7音階で調律しているため、転調が自在にできないこと
 
さて、一体どう改良されていったのか…
 
 
 
 
 
 
 
…詳しくは次週!(ΦωΦ){焦らしまっせ〜。
 
 
次回は画像も交えながら、朝鮮上陸から現代までヤングムの進化過程を見ていきたいと思います!
 
おたのしみにヾ(・д・。){続きはコチラ
 
 
 
□■□■□■□■□■□■
 ♯양금 onepoint advice♭
 
トレモロは指でなく手首
弾けるように練習すべし!
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【基礎知識】『ヤングム』ってなに?(歴史編②)

アンニョンハセヨ~(*^O^*)

金剛山歌劇団 ヤングム奏者の黄聖順(ふぁん そんすん)です!

 
 
さて、前回に引き続き、ヤングムの歴史についてお話したいと思います♪
 
10世紀以降、世界中に広まっていった打弦楽器ですが、16世紀頃に洋琴(後に“揚琴”に転じる)として中国に伝わり、
朝鮮半島に伝わってきたのは18世紀に入ってからでした。
わりと遅めだったんですね~。
 
 
その頃の朝鮮では、ソウルの両班(当時の官僚階級)たちの間で中国・北京を訪れることが一種のステータスのようになっていました。
 
ソウルの両班たちにとって、初めて見る北京の洋琴はとても物珍しいものでした。

当時の洋琴はこんな感じ
↓↓↓
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確かに、今の私たちが見ても興味をそそられますよね(・o・)!
 
そんなこんなで北京帰りに洋琴を買ってくる人も少なくなかったといいます。



 
しかし!それから60年もの間、朝鮮で洋琴が演奏されることはありませんでした。
 
一体なぜか?!
 
 


 
なぜなら……
 

 


 
 
 
弾き方が分からなかったからです!!
(えぇぇぇ~(゜o゜;)?!?!マ○オさん風に)
 
 
いや、確かにこんなに弦ばっかりだとどこが何の音なのかなんてわからないかもしれない…けど!


買ってくる時に聞かなかったんかい!!

ってツッコミたくなりますよね( ̄▽ ̄;)。笑
 
そんなお茶目(?)なブルジョア両班の、いわば書斎の飾りに成り下がっていた洋琴…

でしたが!
ついに日の目を見るときが来ます!!

 
その救世主となったのが、
 
朴趾源/パク チウォン(左)と、洪大容/ホン デヨン(右)
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という二人の両班でした。
 
実はこの二人…ただ者じゃありません。
 
資料によると、二人とも絶対音感を持ってる上に、音楽についての本まで執筆するほどの博識ぶり。
 
洪大容にいたっては
北京の聖堂にあった、初めて見るパイプオルガンをものの見事に弾きこなし、
さらにそれがどういう原理で音が鳴っているのかまで瞬時に見抜いて、持ち主にスラスラと説明してしまうような天才っぷりだったようです。
 
す、すごいですね…( ̄▽ ̄;)
 


そんな二人ですが、
どう洋琴を救ったかというと…
こんな資料が残っています。
 
ある日、洪大容の自宅を訪れた朴趾源
そこで、これまた書斎の飾りになっていた洋琴を見つけます。
そこで朴趾源洪大容にひとこと。


 
『洪さん…カヤグムを持ってきてください。

この洋琴、調律してみませんか( ̄ー ̄)ニヤ
(注:セリフや表情などの微妙なニュアンスはあくまで筆者のイメージです。)
 


こうして二人の両班の手によって、
書斎の飾り物であった洋琴は、
みごと素晴らしい朝鮮の打弦楽器
ヤングム』へと
華麗なる変貌を遂げたのですヾ(´▽`*)ゝ!パチパチパチ…

 
余程嬉しかったのか、二人が調律をやり遂げた日にちが朴趾源本人の文献に残されています。

 
↓↓↓


 

1772年 6月18日 PM6:00頃
 
 
 

…細かっ\(゜o゜;)/!!


 
その後、“謎”が解読されたヤングムは両班の間で大ブームを巻き起こし、
徐々に朝鮮の民族楽器として定着していきましたとさ。
 
めでたしめでたし。
 
 

 
 



で、終わりではないですよ((((;゜Д゜)))!!
 
 
そこからヤングムはもうひと段階、
飛躍を遂げることになります!
 
次週!ついにヤングムが現代のかたちに生まれ変わります!!

 
 

*参考文献 [조선에 온 서양물건들/강명관著]


□■□■□■□■□■□■
 ♯양금 onepoint advice♭ 

シ♯は大いに活用すべし!
□■□■□■□■□■□■

【基礎知識】『ヤングム』ってなに?(歴史編①)

アンニョンハセヨ~(*^O^*)

もう5月だというのにまだ花粉にやられています。
金剛山歌劇団 ヤングム奏者の黄聖順(ふぁん そんすん)です!


先週の初投稿で大々的に宣伝してしまい、少し緊張してますが…

ついに始まりました!
初企画
<週刊『ヤングム』ってなに?>!!


毎週これを読めば、ヤングムを知る人も知らない人も、ヤングム博士の仲間入り?!

そして、すべて読み終える頃には
ぜひ一度聴いてみたい!
ってなっている!!…はず(*´-`)



第一回目の今日からは、
ヤングムの歴史について、数回に渡ってご紹介しようと思います(*´∇`*)



そもそも、ヤングムって一体なに?ってところからですね。
こんな楽器です!
↓↓↓↓↓
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…ん?どうなってるんだ…??
もう少し近くで見てみましょう。








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\わぁーなんだこれー!!!/






…はい!素晴らしい反応ありがとうございます(  ̄▽ ̄)



このように、台形の木箱の上にがたくさん張られていて、その弦をバチなどでって(叩いて)演奏する楽器のことを、
打弦楽器
といいます。

ちなみにこのバチ朝鮮語では『チェ』といいます。
イメージはこんな感じ↓↓
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弦を叩くって、日本ではあまり見慣れない演奏スタイルですよね(>_<)



ヤングムは現在使われている朝鮮の民族楽器では唯一の打弦楽器なんです!
(∩´∀`)∩{オンリーワンですヨ!!



ヤングムは漢字では『洋琴』と書くんですが、
文字通り『西洋から伝わった琴』という意味です。


正確には、打弦楽器の発祥はペルシャ(現 イラン)だと言われています。

イランには『サントゥール
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という打弦楽器が現存していますが、

このサントゥールという楽器はなんと10世紀にペルシャで書かれた詩にすでに登場していて、ということは1000年以上も前から使われていたんですね!そしてなんとサントゥールの原型になった楽器は紀元前3000年前には存在していたと言われていて要するにとーっても長い歴史を持った楽器なのです(°▽°)


さて、ヤングムの祖先であるサントゥールはその後、何百年もかけてじわりじわりと世界に広まり、
その地に合わせて様々な形に変化、定着していきます。

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まずヨーロッパですね。
ハンガリーの『ツィンバロム

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ドイツには『ハックブレッド

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アイルランドやイギリス、アメリカには『ハンマーダルシマー

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などなど。

そしてその勢いは東洋にも!



中国の『揚琴

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タイの『キム

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などなどなど。
実は世界中にヤングムの親戚がたくさんいるんです!
みんなどことなくヤングムと似てますよねー(  ̄▽ ̄)



そしてついに!
打弦楽器旋風は朝鮮半島にも!!



次週、いよいよ打弦楽器が朝鮮半島に上陸します。

しかし!!
すべてが容易く成されるわけじゃない。
それが…人生というもの……!!!(?)


ヤングムの前に、
思わぬ困難が立ちはだかります(°Д°;)!!




乞うご期待(=゚ω゚)ノ{続きはコチラ

Welcome!양금(ヤングム)blog♪

アンニョンハセヨ~(*^O^*)

はじめまして!
金剛山歌劇団 ヤングム奏者の
黄聖順(ふぁん そんすん)と申します!

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この度ブログをはじめてみました♪
 
ヤングムを知ってる人も知らない人も、
音楽好きな方もそうでない方も、
ウリ同胞でも日本の方でも!
みなさんが楽しめるブログにしていきたいと思っています(*^^*)
 
 
今日は初投稿なので、私が所属する金剛山歌劇団について少しだけ紹介したいと思います!
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金剛山歌劇団は、日本で生まれ育った在日コリアン達で結成されたアーティスト集団です。
 
朝鮮舞踊家,歌手,楽器演奏家,スタッフ達が在籍していて、
日本全国で巡回公演を行ったり、ソロリサイタルや少人数でのミニコンサートを開くことも!
 
華やかな舞踊壮大な音楽が魅力です!
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(2015.12 特別公演 <金剛山舞姫たち>から)
 
 
 
私はヤングム奏者で楽団所属なので、楽団を少し詳しく説明すると…
 
日本で唯一、朝鮮の民族楽器と西洋楽器がコラボした民族管弦楽団なんです!
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(2015.12 民族管弦楽団ディナーコンサートin大阪から)
 
ここでしか聴けない民族情緒あふれるサウンドと、
最近では朝鮮民謡はもちろん、クラシックやタンゴ、映画音楽などなど…
バリエーション豊富な曲目も魅力です(*^O^*)
 
楽器や部員についてもっと知りたい!という方は
 
 
 
さて、私の弾いている「ヤングム」という楽器はというと、
あまり有名どころではないかもしれません。
よく同胞との交流の場で「ヤングム弾いてます」と言うと決まって返ってくるのが…
 
 
 
 
 
「あぁ~なんか真ん中でぽろぽろ叩いてるやつ?」
 
 
 
 
 
……いや、間違ってはいないです。
 
確かに真ん中でぽろぽろ叩いてますし。
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間違ってはいない……
間違ってはいないけど…っ(´;ω;`)!
 
 
 
もっとヤングムを知ってもらいたい…
真ん中でぽろぽろから脱却したい…!
そこで!!!
 
新企画を始めます!題して
「ヤングム」ってなに?>!!
(*´-`){何のひねりもないとか言わないで~。
 
私の弾いているヤングムを、
何それ初めて知った!って人でも分かりやすく紹介していく予定です(*^^*)
 
 
 
これからも、そんすんのヤングムblogをよろしくお願いいたします( ´∀`)/{第一回目はコチラ